マラソンの生理学

走っていて分った積もりでいたことがふと、疑問に思うことがあります。先日も週間走行距離やインターバル走の練習効果について疑問に思い、ダニエルズさんとアドバンスドさんを読み返したりしているのですが、疑問に思っていなかったところも読み返してみるととても興味深かったりします。ちょっと引越しで整理していて古いアルバムを見始めたような、あ、ちょっと違いますかね。

ダニエルズさんもアドバンスドさんも理論的で納得性も高いのですが、基本のところは同じでもそれぞれ表現が異なっていたりします。

アドバンスドさんでは「フルマラソンの生理学」と題して、マラソンの記録向上に関わる要素を整理しています。
本のままなんですけどね。詳しくは買ったり、借りたりして読んで見て下さい。
マラソンランナーとして成功するための要素と考えても良いかなと思いました。一般市民ランナーだと全部揃っているわけじゃないし本格的に調べないと分らない項目もあります。若干(結構?)、本から言葉を変えて書いています。

1.遅筋繊維の割合が高い
運動筋は3つのタイプがある。遅筋と速筋タイプIIa、速筋だがある程度持久力を持った遅筋の性質を持つタイプIIb。
遅筋は速筋と比べ、強い筋出力は無いが持久性に優れ、有酸素能力(酸素を使ってエネルギーを生産する)、毛細血管密度が高い。
遅筋と速筋の比率は個人差があり、遺伝的に決まっておりトレーニングで変化しない。と言われている。ただし、速筋IIbは遅筋の性質を帯びるように持久的トレーニングで変えられる。

2.乳酸性作業閾値(LT値)が高いこと。
弱い運動強度から徐々に運動強度を高めて行った時、ランニングだとジョグペースから徐々にペースアップして行った時に、血中乳酸濃度が急激に増えるポイントがありそれを乳酸性作業閾値と呼んでいる。略して閾値。
アドバンスドさんでは、最高心拍数の82%から91%の運動強度で、速い選手はハーフマラソンのペースに近く、一般ランナーは10km走や15km走のペース。ダニエルズさんは50分から60分継続できるペースと書かれていて、トップランナーはハーフを1時間程度ですから、閾値ペースで走れ、一般ランナーはハーフを80分以上掛かるからハーフレースは閾値ペースじゃないですね。もう少し遅いランナーは10kmレースが50分だったら、そのペースが閾値。

閾値に関係するのは
・ミトコンドリアの増加と拡大
何故ミトコンドリアの数と大きさが拡大すると乳酸性作業閾値が上がるのか。
ミトコンドリアは筋繊維の中で有酸素性エネルギーを生産するいわば、細胞の発電所。有酸素性エネルギーの生産が増え、より速いペースで走れるようになる。(より速く走るためには、より強力な筋出力が必要なため)

・筋肉内毛細血管密度の上昇
有酸素性エネルギーを生産するためには当然、酸素が必要で毛細血管が発達していれば、より酸素が行き渡りやすく、また老廃物や二酸化炭素を運び去ることが出来て、有酸素性エネルギーの生産が向上する。

3.グリコーゲン貯蔵量が多く脂肪利用効率が良いこと。
フルマラソンの場合、蓄えたグリコーゲンを上手に使い枯渇させないで走ることが必要で、そのためには貯蔵量そのものを多くすることと、グリコーゲンを節約して使うために上手に脂肪を利用すること。

4.ランニングの経済性が優れていること。
一定の酸素消費量、ひいては一定のエネルギーでどれだけ速く走れるかが、ランニングの経済性。燃費の良い車と同じですね。アドバンスドさんの記述では、ランニングの経済性を決定する主な因子は、速筋と遅筋の割合(遅筋が多い方が有利)、バイオメカニクス的諸条件の相互作用、走暦とあります。バイオメカニクス的条件についてはどれと言えないとあるのですが、あまり難しく考える必要は無く、無駄の無いフォーム、ブレーキの掛からないフォームとか、上下動、左右ブレが少ないフォームとか、脚のスムーズな回転とかそう言ったことじゃないかと思うのですが。

5.最大酸素摂取量(VO2max)が高いこと。
多量の酸素を筋肉に運び込む能力が高いこと。

6.回復が早いこと。
優れたマラソンランナーは回復が早く、より高強度な練習を頻繁に行うことが出来る。単に若さや遺伝だけでなく、練習の組み立てや食事、睡眠、年齢、生活習慣など色々な要素がある。
これはとても大事ですね。歳を取ってくると回復が遅くなりやりたい練習が十分出来なくなって来て加齢に加えて走力が落ちることになると考えています。

全部で6項目ですね。これらの生理学的要素を改善する方法として
1.遅筋繊維の割合が多い
これは無理か。遅筋の割合は増えない。速筋を持久的トレーニングで鍛えることで遅筋の性質を持った速筋タイムIIbには変化させることは出来るが、遅筋の代わりを完全に務めることは出来ない。とは書いていないですが、筋タイプ以外はすべてトレーニングで向上できると書いてあります。
遅筋の比率が低いとマラソンにむかないのか、それは逆に速筋の比率が高く短距離は有利なんでしょうけど、相関関係は認められるも後天的要素(トレーニング)も大きく、筋肉の比率と競技は距離がある事も理解しておくべきとアスリートの科学には書いてあります。

2.LTを高める。
現在の閾値ペースかそれよりも1km当り1秒か2秒早いペースでテンポ走かまたはクルーズインターバル(閾値ペースと休憩を交互に行うインターバル走)。練習では乳酸が血中に蓄積し始める強度で走ることになる。これより低いとトレーニング刺激が弱くなり、高いと急激に乳酸が蓄積しそのペースを維持できなくなる。

3.グリコーゲン貯蔵能力と脂肪利用効率を向上させる
持久性トレーニングのみで向上させることができる。中心となるのは、一度に90分以上走るロング走。
注意点がいくつかあり要約すると
・長く走り過ぎても良くない。長いと体力は付くがそれ以外のポイント練習ができなくなる。
・スロージョギングも良くない。適正ペースはレースペースの10%から20%遅いペース。
・遅いペースだとマラソントレーニングとしては不十分でよくない走り方が身についてしまう。
遅いペースが良くないことをかなり紙面を割いて書かれています。
これは改めて読み返して見て、新鮮なアドバイスでした。ちょっと思っていた事を裏付けてくれる記述です。

4.ランニングの経済性を高める
この点に関しては練習方法として2つ薦めていて、一つは時間をかけて走行距離を増やし、速筋を遅筋の性質に近づけること。もう一つが短い距離を速く走ること。これは流しです。100mを10本としているので、流しを10本行う、スプリントインターバル走です。ダニエルズさんのことにも触れていて、ダニエルズさんはレペティションを薦めていると書いてありました。
レペティションも短めの距離を速く走ることで無駄のないフォームを身に付ける方法です。
一般市民ランナーに取っては、より取り組み易い、流しやそれを多く行うスプリントインターバル走が良いと思いました。長い距離を時間をかけて速筋を遅筋に変えたらランニングの経済性が高まるのか?
確かに速筋はパワーがあるが長持ちしないので速筋タイプIIb=中間筋に変ればよりマラソンには向くでしようけど効率の良いフォームの方が有効に思えます。

5.VO2maxを向上させる。
練習方法としては、いわゆる、インターバル走ですが、ここもダニエイルズさんと近い理論で書かれています。
400mのような短いインターバル走より、1200mなどのような長い距離の方がVO2max向上の刺激としてはより強い。
VO2max走については、ダニエルズさんとアドバンスドさんを比較して書いた方が面白いのでまた後日。

思いの外、長くなってしまいました。
えっ、いつものこと(笑)
一つ一つを掘り下げて書きたいような内容ですね。またダニエルズさんの原理とも比較したいと今日は触り的な内容でした。
回復については説明が別の章で詳しく書かれていたように思います。
本を多少変えたけど写しただけで内容がありませんでした(反省)

アドバンスドさんの内容が無いという事じゃなく、それを上手く整理できていないと言う自分の問題。
ただ駄文でも書いてみるのは、速く走るための要素や方法、仕組みを少しでも正しく理解したいからです。
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プロフィール

たのくる

Author:たのくる
埼玉県在住の市民ランナー。50代後半、男性。
Author名の由来:ランニングで楽苦しいのが好き?
2012年11月、つくばで初サブ3を達成。

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